韓国1
韓国でこんなに歩いたのは初めてかもしれない。
いつも現地の友人達に連れられかなり歩くのだが、今回は歩く環境が少々異なった。そこを歩く周りの人々は、軽装備ながら誰もが運動靴やウォーキングシューズを履いていた。「あそこまで行くんだよ」と指差された方向を眺めて「またまた冗談を言って…」と思っていた。私にとっては、それ程『彼方』だった。
ソウルから西へ車で江華島(カンファド)まで1時間40分前後、そこからカーフェリーで5分くらいのところに席毛島(ソクモド)があり、岩肌に巨大な観音像の彫刻がある普門寺(ポモンサ)へ行った。そもそも普門寺は洛迦山(ナッカサン)という山の中腹にあるというのだから、登らなければ拝めないのは容易に想像がつく。ヒールのある靴でつま先立って登っているのは私くらいで、日本から一緒に行ったスポーツンストラクターをしている友人は「山を馬鹿にしているのか」と、呆れ顔で罵倒する。……私だって『山』と知っていれば考えたさ……。
それでも山の凄いところは、登った者だけが見る事の出来る眺望が疲れを吹き飛ばすこと。見下ろした西海は緑と青が独特に調和して、まるで一枚の掛け軸を見るようだった。
段差が激しい天然石の階段は登る時より降りる時に本領を発揮し、翌日以降 私の動作を大幅にスローダウンさせることになる。