風船葛
久しぶりに父の田舎、千葉の曽呂へ一緒に行った。地元の祭があり、従兄弟が持ち回りの担当理事を受けているため、その準備に一人でも多くの手が必要だった。
私が行ったこともあってか、当日は朝からの大雨。結局神輿は中止となり、振る舞いのための料理づくりだけを手伝った。
昼過ぎからは振る舞いの残りを囲んで、親族達の宴となった。普段鮮魚類の中でも少々値が張り手が出にくい伊勢海老が、蒸し煮に…塩焼きに…味噌汁に…刺身にと。そのほか蟹、サザエ、鮪・蛸等の刺身、赤飯に太巻きまで、海の幸と山の幸をたらふくいただいた。
食べ終わるころには空に晴れ間が広がり、開いた窓がら爽やかな自然の風が流れ込む。窓に目を向けると、自然が作り出した『風船葛』の緑のカーテン…実は私はこの植物を見て「あら!ほうずき!?」と言った。直ぐさま従兄弟の子どもが「何を言ってるの?風船葛よ」風船状の袋がホウズキを連想させたが、確かにこちらの方が全体に小振りだった。
伯父が種子が可愛いと言って見せてくれた。5ミリ直径くらいの黒く真ん丸な中に白い部分があり、よーく見るとハートの形になっている。「あ!ホントだ!ハートになってる!」
日頃から植物を育てるのが苦手な私は、これに穴を開けビーズと組み合わせてブレスレットにしたら可愛い…と思ったが、種のまき方や育て方を一生懸命説明してくれる従兄弟には言えなかった。
田舎って…なんだか温もりがあっていいな。できれば、いつまでも残っていて欲しいが最近では外来種のキョンが田畑を荒らすそうだ。のどかな風景の中に、注意看板と共に張られた電熱線の柵が悲しい。
共生するのは…とても厳しいようだ…。