椿
椿を見ると思い出す友人がいる。
初めて彼女に出逢ったのは中学の時。とてもスレンダーで小さな身体に、顔立ちのハッキリした人形の様な女の子。少し控え目で運動は苦手だが、勉強がとてもよく出来て聡明だった。
彼女と椿が結び付いている理由は、彼女が書いた一編の詩だ。椿の気持ちを詠っていて、幼い私にもそれが高度な表現力と、可憐な描写力のある詩だということはよく理解できた。同じ年でありながらこんなにも違うのかと、自分の稚拙さを恥ずかしく感じた。
物静かに朱の主張をしながら凛と咲き、散り際は切なくなるほど潔い…
椿は私の友人によく似ている。