日本伝統衣装 きもの
『着物』好きだった母は、『着物を買わなかったら家がもう一つ買えた』と 言っていた。
遺された着物を整理するとき、それが嘘ではなかったことが証明された。
私は和装に全く興味がなかった。知識もないし着る機会もない。
ところが、子供の七五三や成人式など無縁でいられなくなると、目にしたり手にする機会が増える。改めて、着物の奥深さを知る。
柄の一つ一つに意味があり、想いが込められている。
着てしまえば同じに見える着物も、時や場所を選び、その礼節などが頑なまでに守られている。
着物を着ようと思うと、不慣れな私は先ず何をそろえれば着られるのか・・・というところから始まる。和ダンスの中からそれらを引っ張り出すこと自体、かなり高いハードルになっている。組み合わせ、色・柄・種類・季節など様々な用途に合わせた着物を選び、帯を選び、小物をしつらえる。
それでも着物を購入しようと思うとかなりな高額で、着物の反物だけあっても着られない。着物を仕立てて、襦袢を仕立てて、帯・草履・帯揚・帯締・バック・・・etc・・・
挙句 自分で着られないとなると、着付け、髪結いまで費用が嵩むだけではなく、時間と労力まで洋服の何倍も掛かってしまう。
せめて、母が遺してくれた着物に感謝しよう。
そしてタンスの肥やしになっている着物たちに、一度は袖を通してやりたい・・・と思うようになった。